「キリストを見る」 ウィリアム・ブレオー 作
愛する主キリスト
人々の中にあなたを見ることができますように。
外面の社交的な交わりの中にではなく
人と人との出会いを通して
互いに知り合うようになったとき
もっと深い所に
あなたを見ることができますように。
彼らを弁護する余地がみつからなくなってしまったとき
彼らのことを知らないふりして済ませるわけに
いかなくってしまった とき
その時に、主よ
あなたのまなざしを
美と恩恵のまことの源泉である
あのまなざしを
心のうちに感じることができますように。
主よ、その時こそ
わたしに教えてください。
人々のうちにおられる
あなたの臨在を
自覚していく聖なる地点に
今こそ立っているのだというそのことを
この交わりの神秘への
畏敬の念が
愛の思いに
深まっていきますように。
「存在の神秘」 ウィリアム・ブレオー作
主イエス
よい計画が
なぜか実現しないとき、
失敗をけんそんに受け入れるとき、
こころにそまない出来事や
満たされぬ思い、
悲しみや絶望に出会うとき、
そんな時にわたしはハッと自分の思いによってではなく
あなたによって生かされているという
存在の神秘に気づきます。
するとわたしはたったひとりで
あなたのみ前に立っています。
この体 験ほど、深く個人的なものは他には何もありません。
主よ、人生とは何でしょう?
こんなにたやすく失われ
こんなにすばやく過ぎ去ってしまう
それでいてこの世に生きるということは
なんと大きな約束を内に含んでいることでしょう。
神秘の淵を飛び越えて
彼岸に行ってしまわぬように
わたしたちをつなぎ止めるかぼそい糸が
一瞬にして断ち切れるのは
なんとたやすいことでしょう。
それなのにわたしはこの人生の表面で
永遠に錨(いかり)をおろしでもしたかのように
落ち着きはらって日々を生きているのです。
こころの鏡をほんの一枚取りのけてみれば
存在の神秘の淵に
辛うじて命を保つ自分の姿が
おぼろげながら見えてきます。
けれど、 どうして人はこの考えに
反発しようとするのでしょう?
主イエス、どうしてこれがあなたへの
回心のきっかけにならないのでしょう?
「約束」 ウィリアム・ブレオー 作
主よ、この世はいつも
実際以上に大きいことを
わたしたちに約束します。
「年に一度の大売り出し」
「最高級の輸入品」
「最大のタレント」
最上級の形容詞の氾濫しているこの世界。
決して実現することのない
「空手形」に頼って暮らしていると
いつも希望に裏切られ
消耗し切ってしまいます。
約束をあてにして、むなしい期待でふくらんだ心は、
嫌悪感と混乱と
漠然とした後ろめたさで
寝ざめの悪い朝を迎えなければなりません。
期待ばかりが大きすぎ
実現するのはほんの少し、
その空隙(くうげき)を埋めるため
考えることをやめるため、
わたしはあわてて次の約束に手をのばします。
主よ、あなたの恩恵は
これとはちょっと正反対に
最初は辛さを約束し
反発さえもおこさせますが
ひとたびそれを受け入れるなら
深い平安と良心の自由が与えられ
人生を歓喜をもって眺めることが
できるようにしてくれます。
手近な楽しみの約束を見過ごすことを
主よ、教えてください。
わたしのうちに働いてくださる聖霊の
尊い動きを知るために。
「偽りのない祈り」 ウィリアム・ブレオー作
わたしたちが人生の旅に
たびたび迷い
どっちの道をとったらいいか決めかねるのを
神よ、あなたは見ておられます。
わたしたちの自分勝手な思いや
それを言い繕うずるさのために
とるべき道を
選べなくなってしまうのです。
こうしてわたしはあなたに背くものとなり、
光を恐れ
暗闇の中に身を隠して
あなたがいつも変わることなくそこにおられると知っていながら
あなたを無視して
これだけがわたしの人生だ、といわんばかりに
勝手に生きていこうとします。
あなたはやさしい方だから
あなたを閉め出して生きるのは
ごく簡単なことなのです。
それでも主よ
あなたは造られたものを愛される。
わたしたちの思いにはかかわりなく
救いのみわざをおこなってください。
頭の鈍いわたしたちも
あなたの真理を見るまでに
変えられることもできるのです。
わたしたちの不機嫌を
どうか辛抱なさってください。
そしてわたしたちに
あなたの光をお与えください。